リスと暮らす

8年目

ココアの遊び場 3

2006年~2008年

ココアも今年で8歳になるけど、相変わらず毎日部屋中を走り回っています。
とは言え、やっぱり歳は歳。これからは、ココアが怪我をしないような部屋にしていかなきゃな、と考えています。

枝つきツリー

以前からココアが遊べる自然木を部屋に置きたいと思っていたものの、山で伐採しただけの木を部屋に置くのは無理がありそう。

ある程度加工した物を探していたのですが、さめうらこむのサイトのトップページに枝つきの木が大量に写っている写真を発見!
直接出向いて、たくさんある木の中からココアが遊べそうなのを選んで来ました。さむうらこむの和田さんには本当に良くしていただきました。

左はヒノキで、右はサルスベリです。ヒノキが2m15cm、サルスベリは2m28cmの高さです。

で、お世話係2人は喜び勇んで設置し、ココアも興味津々で飛び付いたのですが・・・どちらもツルツルで滑ってしまうらしい。

なので、枝にコルクシートを貼って滑落防止措置をしています。
まぁ、すぐにこうなってしまうのは想定の範囲内ですけどね・・・。

ヒノキのてっぺんに休憩所を設置した結果...ココアの人間観察場所になりました。

子犬のベッド

子犬のベッド 東急ハンズで見つけた子犬のベッドです。かなり手触りが良くて、ココアが好きそ~と思った瞬間、手から離れなくなっていました。

検査を入念にした後、おもむろにスリスリしてました。

パインベッド

ココアの新しい別荘です。

ホームセンターに売っていた、チープな子犬用ベッドで最初は見向きもしなかったけれど、フリースを詰め込んだ途端お気に入りの場所になりました。
中で暴れまくって、キャットツリーの上からよく落としています。

最近では“2度寝”専用のベッドになっています。

※「パインベッド」は、お世話係が勝手に命名しただけで、商品名ではありません。

ココアの遊び場 その1, その2

プレゼント特集

2008年 秋

ココアももう8歳。色々あったけれど、普段は平凡で刺激のない老後生活を送っている。
そんなココアに刺激を与えてくれる、ありがた~い頂き物を紹介しちゃいます。
皆様、貴重な物をわけていただき、ありがとうございます。

生の天津甘栗

もう何度も送っていただき、すっかりお世話になっています。

生ですよっ生!

これから商品となる前の栗(つまり食品として安全)を無理を言って分けていただいて、それをさらにココアにも分けていただいております。

あ・・・私だけ何の苦労もしていなくてスミマセン...。
冷凍保存が出来るので、重宝しています。

オニグルミ

これもいつも送っていただき、感謝しています。

産地別で少しずつ色や形が違いますが、ココアの食べ方に変わりはありません。
殻を割るのに10分はかかるので、少しの間、おとなしくしていて欲しい時に役立ちます。

綿の実

ココア8歳にして初めての綿の実!

袋を開けて取り出すのも自分で出来ちゃいます。
野生児ココアは本当は齧って中身を出したいのに、最初から皮が剥いてある製品なので、わざわざ端っこを齧っていました。

私にはココアのフンなのか綿の実なのか、一瞬区別が出来ないけれど、ココアは躊躇することなく食べていました。

ハチノコとゾウムシ

せっかくいただいたのに、全く興味を示してくれなかったのが、ハチノコとゾウムシさん(クリシギゾウムシの幼虫)。

虫さんをおやつ用お皿に入れてココアに渡すと、顔を突っ込んだ後、「?」「何も入ってないよ」というお顔。コレコレと指を差しても、「何もないよ!!何かちょーだいっ!!」と飛びかかってくる始末。

大好物のコーンに乗せてもポイ、焼いてもポイ...
ココアがリンゴを食べている時、お口の横からぐいっと入れてみたら、激怒されました。
そ して、そのお口を私の服で拭いている──キャァァァー!!

「ごめんなさい。もう2度としません!今まで通り、動物性たん白質はドッグフードで摂ってください」とココアに謝ったのでした。

エビフライ

リス好きの方はご存知ですが、リスが松ぼっくりを食べた後の残骸の事です。

ココアがいただいたのは、北海道阿寒湖畔の自然林の松ぼっくり!
リスさんならおいしそ~っ!!って思うかしら?
飾っておきたいほど立派なその松ぼっくりを、恐る恐るココアに渡してみた。

大きな松ぼっくりを目の前にしたココアは、ひるむ事もなくワシッと両手で掴み、ペリペリとはがして松の実を取り出した。

手際の良さに驚く。

松脂の臭いがかなりキツイのに、お構いなし。
なんと、10個も連続で食べました。

実は少し前に殻付きの松の実の存在を教えていただき、アメリカ産のものをあげたのですが、ココア得意の知らんぷりだったのです。
でも多くのリスちゃんはちゃんと食べてくれるようです。(小鳥の部屋USAで入手可能です)

松脂がココアの手に付くと、急にあらぬ方向に飛び跳ねたり、手を舐め続けたり、動きがおかしくなります。
松脂はアルコール入りのウェットティッシュで拭いてあげるだけで、簡単に取れました。(消毒用エタノールをしみこませた布でも大丈夫だと思います)

ココアのエビフライ。いかがでしょう!?

ココアの大災難

2008年 12月

この頃のココアは、本当に好き勝手、自由奔放、気ままな生活。
起床時間は大体7時から8時の間。
8時を過ぎると、お世話係が心配になって様子を見に行き、結果的に起してしまう。

12月にようやく冬毛になったものの、顔だけ夏毛。リスの着ぐるみを着たリス状態。

ボレロをまとったようなココアの換毛
無理やり写真を取られてちょっと不機嫌。

最近のココアのブームは、人間用のクッションをひっくり返したり、滑り込んだり、のたうちまわったりして遊ぶこと。
シメは日向ぼっこです。日光が移動するのに合わせて、ココアもクッションの上を少しずつ移動するのがかわいい。

お昼の1時頃には寝てしまうけれど、どこで寝るかもココアの自由。毎日のように寝床を変えている。
夜、突然起きてきたり、翌朝まで寝続けたり、やりたい放題である。

心配事

ある夜、何の前ぶれもなく、ココアが起きてきた。
いつもの場所でオシッコをしているが、少し力んでいるように見える。しかも1滴ずつポタポタとしか出てこない。
量もかなり少ない。

ココアの頭の中は、オシッコの事しか考えられないようで、寝るまでの間、ずっとチビチビしていた。

ココアはトイレの場所を、ケージの床だと決めている。床にはペレット形状の猫砂(SuperCat ナチュラル100(現在廃盤 後継製品はこれ))を撒いている。下の写真の様に水分を吸収すると、木くず状になり、周囲がモコモコの状態になる。

その猫砂が、今日はあまりモコモコになっていない。
という事は、オシッコの量が少なかったというわけだ。ちなみに、水分摂取はいつもと同じ量。

── どこか、調子が悪いのかもしれない。

今年はココアのベッドにカイロを入れたりして、保温にも気を使っていたし、1ヵ月前の定期健診では、何の異常も見つかっていなかったのに。
とにかく、明日はココアを病院に連れて行くことにした。

病院へ

一夜明けて、相変わらず1滴ずつしかオシッコは出ないようだ。

いつも決まった場所(ケージの床)でするのに、今朝はテーブルの上で踏ん張っている。痛みがあるようには見えない。
病院で詳しく尿検査をしたいのに1滴ずつしかしないので、ほんの少量しか採取できなかった。

一応走り回っているし、食欲もあるので、一見とても元気そうに見えるけれど、とにかく病院へ向かった。
病院に着くと、見るからに具合の悪そうなアニマル達でいっぱいで、回転し続けるココアを連れているのは肩身が狭い。

そんな中、尿検査の結果は、潜血(-)、他全て異常なし。
膀胱も張っていないし、触診で確認できるほどの大きな結石も感じられない。

じゃぁ、何で出ないの!?

-メモ-

大きな膀胱結石は、指の腹で軽く圧迫するだけでわかるらしい。膀胱もパンパンになると風船のような感触になるんだとか。でもそうなったら、多分、膀胱穿刺とかが必要な状態なのだろう。怖~。

先生曰く...

「症状としては膀胱炎ですが、結石などの原因があるかどうかは、詳しい検査をしなくては分からない。
もちろん、麻酔をかけて・・・」

ってココアは8歳後半なんですけど!?

「原因不明のままでは、治療も限度があるし、海外ではエキゾチックの検査に麻酔をかけるのは通常のことで、うんぬん...」

と説明していただいたものの、今のココアはオシッコはチビチビ出ているわけだし、痛みもなさそうだし、メチャ元気だし、出血もないし、巨大結石もまだないし・・・ ブツブツ...(心の声)

全身麻酔は怖いので、とりあえずキノロン系抗菌剤を処方してもらった。
軽度の膀胱炎ならすぐに治るハズだ。

今回は、薬と水分補給と、部屋の温度UPで様子を見ることにした。

次の日

オシッコはチョビチョビとどこにでもしている。
ティッシュを携帯して、ココアの後をずっと追いかけなくてはいけない。

でもそれ以外は本当に元気!
走り回っているし、ご飯も良く食べる。
さらに経過を見てみることにする。

3日目以降

3日目には、早くもオシッコの量が増え始めるものの、完治した様子はない。

ココアは、夜起きるのも寝続けるのも自由奔放、気ままな生活なので、1日2回の投薬もかなり難しい。
時間が大幅にずれたり、全く起きずに夜の分を飲まなかったり (この事は、後になって猛反省することになる)

それでも1週間もすると、オシッコの量も通常通りに戻り、力むこともなく、勢いも出てきた。
ちゃんとケージ内でするようになったし。イイコイイコ

そこで、Dr. に連絡して、服用を中止することとなった。

オ メ デ ト ウ

薬をやめて一週間後も、勢い良く大量にオシッコをしている。やっぱり膀胱炎だったのだろうか?

ちょうど時期はクリスマスだけど、ココアの頭は冬支度に間に合わず、とりあえずカツラをかぶっている状態。

うわっ! ココちゃん、かっこ悪ぅ

オシッコが出にくくなってからは、ココアの部屋の温度を20℃にキープ。真夜中でも20℃。
水は普段から良く飲ませているので、このまま続行。
ココアの年齢を考慮して、「干からびないように、水を飲もうね」が口癖になっていたけれど、今度からは、「膀胱炎にならないよう、水飲もうね」と多少台詞が変わることになった。

お世話係の毎年恒例の年末スキー旅行も今年は中止。
単独行動の苦手なココアさん、少しは喜んでくれただろうか?

不安な気持ち

2009年 1月XX日

無事お正月も過ぎ、経過は良好。
ココアは今年も気ままな生活を続けるつもりだ。

冷え込む夜にわざわざ窓際の別荘に寝たりして、お世話係の仕事を増やしてくれる。

寝床にナッツの殻などが散らかっていると、「汚れているから寝てあげない」と、ベッドメイキングが完璧になるまで待っている。

「ココアさん、出来ましたよ」

合格ならば、そのままスポンと入って寝てしまう。・・・世話がやけるリスだ。

こんな状態の中、午後2時半になってもお昼寝をしない日があり、さすがに心配になる。もちろん別荘も本宅もきれいな状態なのに。
ベッドに出たり入ったりを繰り返して走り回り、とうとう午後3時。

チュンチュン鳴きだした。

ここ数年、ココアの嫌がることは極力避けているので、この鳴き方をするのは珍しい。理由は不明だけど、「寝たいのに寝られないよー!」と言っているように見える。

なんとか別荘に誘導して寝かせたが、ふと見ると半分寝ながら顔を出している。

── もう4時15分だというのに。

「何かおかしい」

何度か経験したこの感覚に当惑の念が募る─。

2009年 1月XX日

翌日は午前7:30に元気に起きてきた。
機嫌良く過ごし、食欲旺盛。昨日の怒りはなんだったんだのでしょう?

その日の夜、遅くに起きてきたココアは、なんとテーブルの上でオシッコを始めた。

アレ?もしや発情期?

膀胱炎の疑いの時もテーブルの上でしていたけど、以前から発情期にはテーブルや食器棚の上でしてしまうのだ。
しかも少量ずつチビチビと。

これでは、体調不良なのか正常な発情期によるものなのか判断が難しい。

困ったな~

2009年 1月XX日

1月中旬

素人が悩んでいても、ココアにとってプラスにはならない。

リスは予防医学が大切なのだ!

というわけで、ココアは元気に走っているが、病院へオシッコ相談に出かけた。

前回同様、詳しい検査が出来ない以上抗菌剤で様子を見るしかないとの事。

そりゃそーだ

ただし、薬が効かなくなったりこの状態を繰り返すのであれば、詳しい検査が必要らしい。

いよいよ膀胱結石の疑いが濃厚になる。

室温は20℃から22℃へあげることにした。
エアコンを使用すると湿度管理が難しく、加湿してなんとか50~60%を維持。

前回同様、薬の効果はすぐにあらわれた。

勢いはポタポタで変わらないが、それは単に発情期だからかな?
ただ、尿量は確実に増えている。

薬の効果があったことで、安心していたのに...

急変!?

── それは、突然訪れた。

朝 8:20 ようやく起きてきたココアさん。いつも通り走っているけど、なかなかオシッコをしようとしない。

しばらくするとココアもそれに気付いたのか、オシッコをしたくてたまらない様子。

腰を低くして腹筋を使って頑張っているが、1滴も出ていない。力みすぎてフンフンばかり出てる。

これは大変だ!!

と病院へ行く準備をしていると、なんとかオシッコは出るようになってきた。
その後も、チョビチョビと繰り返しオシッコは出てはいた。

検査の結果、ココア人生初の潜血(+)、pH8

出血量はごくわずかだが、尿が出ない状態になってしまったからには、麻酔検査もいたしかたない状況となったわけだけど、その運命を悟ってしまったのか?ココアは異常に回転し続ける。

膀胱結石?いや腎臓が悪いのかな?実は子宮に問題があるのかも。
連想ゲームが止まらない。

検査をすると決めたからには、早い方がいいだろう。
ココアは日々一日と歳とっていくし、いつ症状が悪化するか分からない。
そうなったら麻酔どころか緊急手術なんてことにもなりかねない。

先生のスケジュールは手術の予定で埋めつくされているというのに、偶然、翌日に予約が取れてしまった。

病院からの帰路、いつもはしばらく暴れているココアもおとなしく、車内は静かだった。
今日はとても寒い。神戸の街にも少しだけ、雪が積もっていた。

決断

2009年 1月下旬

ココアに全身麻酔をかけるという意味 ──。

今回、全身麻酔による検査を決断するに至まで、計り知れない葛藤があった。ココアが3歳の若リスであったらなら、ここまで悩む事はなかったのかもしれない。
ただ、8歳後半という事実が大きく立ちはだかる。
この年齢では全身麻酔に耐えられずに、2度と起きてこない、という恐れが十分にある。

全身麻酔をかけずに、洗濯ネットに入れてのX線撮影も考えた。

この方法は、明らかに大きな結石がある場合や骨折がある場合に、その位置の確認程度には有効かもしれない。
今回のココアのレントゲンの目的は、写真から何かを見つけ出すという事。従って、出来る限り正確な写真が必要である。

レントゲンは、一瞬動いただけで正確な写真を撮ることは不可能だ。

麻酔をかけずに洗濯ネットに入れて、「とりあえず一か八かで撮ってみましょう」では、大きなストレスだけが残って、「結局何も分かりませんでした」という可能性が高い。(だって絶対動くもん)

ココアは以前、死にかけた事がある。

当時は別の病院だったが、原因は不明のまま。
今回も単なる膀胱炎でなかったとしたら、大きな病を隠し持っているかもしれない。

尿が出なくなると、ココアの場合、2日で尿毒症を起こすらしい。(この期間は、動物の種類や体型によっても異なります)
ココアの年齢を考えると、病気が進行してからでは手遅れになってしまうかもしれない。

ココアは今とても元気に見える。高齢とはいえ、体力がある今の間に有益な検査が出来るのであれば、やる価値があるのではないか。

何か発見できれば、それに対応した正しい治療が出来るかもしれない。

でも待てよ。ココアもう8歳後半。自然界ではとっくに寿命を迎えている年齢だ。こんなに高齢では麻酔に耐えられずに、死んでしまうかもしれない。それだけは避けたい。

── ここで振り出しに戻ってしまう。

昨年末、最初にオシッコが出にくい事に気付いて病院に行った時、担当医から検査を勧められて以来、こんな考えがずっとグルグルと頭の中を回っていた。

しかし、今回ココアの状態が急変したことで、たった数時間で決断しなければいけない状況になってしまった。

「生きるために行う検査で死んでしまったらどうしよう...」

私の頭は処理しきれない問題に占拠されてしまった。

運命の検査日

前日、病院から帰ったココアは疲れ果て、とっとと本宅のハンモックで寝てしまい、夜も寝続けた。

朝7:30AM起きてくる。ちゃんとオシッコもしている。
ココアにとっては、普段と何も変わらない朝だ。

もしかしたら、ココアと一緒に迎える朝は今日が最後になるかもしれない・・・と悪魔がささやき、そんな事あるはずがない!と天使が慌てる。

コラコラ、私の頭の中。この期に及んで、まだ自問自答の無限ループから抜け出れないの?

ココアは“瀕死”と言われた時だって、ギリギリのところで頑張ってきたじゃない。明日も明後日も、ず~っと一緒にいるんだから、今日も普段どおりに過ごすことに決めた。

ご飯も全ていつも通り。
吸入麻酔のみなので、食事制限もない。

いよいよ約束の時間が近づき、病院へ向かった。時間は正午過ぎ。
なんとか平静を保っているのに、

「高齢ですから麻酔そのものに耐えられない可能性があります」

とDr。説明義務がわるのは分かるが、とどめを刺すのはやめてくれぇ、といった心境だった。

ココアを残して、診察室を出る時、ココアがケージの壁に張り付いてこっちを見ている。

この様子を見ていたスタッフの方が、

「どこ行くのー?行かないでーって感じですね」

と笑顔で話しかけてくれた。

なんだよーココア、内弁慶だったの?

検査

2009年1月下旬

検査をする事自体がココアにとって危険かもしれない。
それでも、ココアの最適な治療法を見出す、最後のチャンスかもしれない。

── そんな想いで、検査に望んだ。

今日は手術が何件も重なっているらしく、ココアの検査終了時間はいつになるのかわからないそうだ。
何かあった時、すぐに駆けつけられるように病院の近くで待機するか悩んだが、ココアを信じて帰宅した。

部屋にココアの姿がないというのは初めての経験で、想像以上に寂しいものだった。

陽が沈み始めた頃、ようやく病院からの電話が鳴った。

「ココアちゃんの検査が無事終わりました」

無事、という言葉に安堵したが、やはり姿を見るまでは気を抜けない。

急いで病院へ向かった。

結果

名前を呼ばれ、診察室へ入る。

ココアが居ない!? ハンモックの中で寝てしまっているようだ。
ココアの姿を見るま間もなく、検査結果を告げられる。

まず、血液検査の結果だ。

一番心配していた、腎臓系の数値は正常らしい。
リスの場合、クレアニチンの値よりも血中尿素窒素に注目した方が良い、と教えてもらった。成分的にも問題はなく、骨も大丈夫だし貧血も無いようだ。

ただ、1項目だけ異常な数値を示していた。

ALPである。体内の殆どの臓器にある酵素で、骨(歯を含む)や肝臓、胆嚢や子宮など、とにかく異常があるとALPの値が跳ね上がるそうだ。

病院では、健康な状態で血液検査をする事はまず無いので、この値が正常値に収まっているのを見た事がないと言われたものの、ココちゃんの値は正常値の約50倍なんですけど、大丈夫だろうか!?

次に2枚のレントゲン写真を解説してもらった。
哀れなほど、完璧なリスの開きにされたココアの骨が写っていた。心配していた結石は腎臓にも膀胱にもどこにも確認できなかった。

胃は内容物でいっぱいで、

「これだけ、食欲があれば元気な証拠でしょう」

と言われた。
なぜかちょっと恥ずかしい。

ココアの年齢を考慮すると、写真に関節炎が認められる例も多いようだが、それもなかったようだ。あの暴走振りを毎日見ている私にとっては、当然の結果である。

腹をくくって挑んだ、全身麻酔。
原因究明のために出来る検査は全てしてもらった。

というわけで、お次はエコー検査の結果だ。

残念ながら検査の直前にオシッコをしてしまったようで、膀胱に全く尿が溜まっておらず、見えにくいうえ特徴的なものはなかったらしい。ただ、残尿がないのはしっかり機能している証拠でもあり、尿の成分が良いことから、腎臓も大丈夫という事が言えるそうです。

わずかとは言え、出血があった限り、子宮周辺も疑わなければいけない。

しかし、大きさなどを含め、異常は認められなかったそうだ。(エコー検査で明らかな異常が認められる場合、病気はかなり進行しているらしい)

しかし、エコー写真は素人には何が何だかさっぱり分からなかった。

「ここが○○」

と示されても、TVのサンドストーム画像にしか見えなかった。

ココアと検査について

命懸けの検査で判明したのは、

「歳の割には元気だね。でももう2度と麻酔は使えないね」

という事だった。

今回使用した吸入麻酔はイソフルラン。
刺激臭で有名なやつだ。鎮静作用のみで鎮痛作用はない。
ただの検査なので出来るだけ体に負担の少ない麻酔がいいのだ。
若くて元気な個体にこの麻酔を使用した場合、ガスマスクを外した途端飛び起きるそうだ。

しかしココアの場合、ドクターの言葉をそのまま借りると、

「この子はね~ちょっと麻酔をかけただけで、自分から寝よう寝ようと深い眠りに入ってしまうんでね・・・」

ドクターは気を遣って“寝よう”という言葉を使ってくれたが、これは「永遠の眠り」のことだ。途中、何度も中断してココアの体を揺すり、何度も名前を読んで覚醒させながらの検査となったようだ。

ドクター曰く

「私の方がビビッてしまって、長い時間麻酔を使えない状態でした」

きっと大変だったのだろう。
良く見ながら検査していただき、本当に感謝している。

今回の検査で特定の病巣は発見できなかった。
結果的に単なる膀胱炎と言えそうだ。

しかし麻酔が使用できないほど、老体になっていることは分かった。仮にココアの子宮が悪かったとして、今後悪化したとても、それを適出する手術は無理!という事なのだ。

開腹して子宮を全部摘出して縫合が完了するまでに、20分はかかるそうだ。
今のココアは20分の麻酔に耐える事がもう出来ない。吸入麻酔のみで永遠の眠りに入ってしまうのだから・・・。

リスは病気や怪我をした時、ただでさえ治療が難しい。高齢になると、更に治療の選択肢が少なくなるのだ。
これからはますます予防に努めなければいけない。

検査翌日

ココアはちょっとお疲れ気味だが、自分がどの様な目にあったのかは分かっていないようだ。

尿量は増え、早くも潜血(-)となった。

膀胱炎という事で今回は確信をもって抗菌剤を1週間続けることになった。水も大量に飲ませる。

ちゃんと水が飲めているかは、市販の試験紙での簡易テストでも確認できる。ココアは日ごろから蛋白が陽性(+++)なのだが、水を大量にのむとほぼ陰性。水分で尿の成分が薄められている事がわかる。

あまり水を飲まなかった日は、すぐに蛋白が陽性になるので分かり易い。

2月にはすっかり元気になり、夜中の2:00AMになっても寝ないで頑張る日が続いた。

朝も7:00に起き、驚くほどの食欲で平和に暮らしていたのに・・・

再発?

2009年 2月下旬

2月末に、尿量が少し減ってきた気がした。
まさか再発なんてしないよね?

3月1日

朝から明らかにオシッコに苦労している。

9:00AM。ついに全くでない状態になってしまった。
その後も手当たりしだいに物を掴んで頑張っている。まるで出産の時にいきんでいる妊婦さんのよう・・・。

おしっこが出なくて苦労している、当日のココアの写真
写真では分かりづらいけど、腰を床に着くほど落としている。両耳を左右に広げて、相当力んでいることが分かる。
こんな姿は初めて

それでもオシッコは1滴も出ていない!

再び一大事である!

ようやく数滴出たオシッコを簡易検査するとヘモグロビン(+++)!!!
なんとかわずかに出たオシッコをかき集めて、病院へ向かった。

出血の量にDrも驚いたようだ。

今回は抗菌剤と止血剤が処方された。ワンちゃんやウサギさんなら点滴している状態だという。
同じ抗生剤を何度も使うと耐性が出来る事がある。サルファ剤などに比べたらはるかに耐性はおきにくいが、今度は除菌してしまいたいので、2週間服用させてもいいか聞いてみた。

Dr曰く

「オシッコが出ない状態を繰り返して苦しい思いをするなら、少し正常な菌を殺してでも抗生物質をあげ続けて、寿命まで持たせるという方法もあります。」

一生薬漬けはさすがにかわいそうだが、絶対に完治させると決意した。

ちなみにココアは食欲もそこそこあり、見た目は元気な状態。
薬を飲んで2日後には潜血(-)となったが、ここから長い投薬生活が始まった。

ココアの大災難 - その後

最後に大反省

上にも書いているけど、最初に病院でもらってきた抗菌剤の投薬がきちんと出来なかったこと。

抗菌剤を服用すると、症状がすぐに改善されるので安心しがちだが、これが一番いけない。生き残った菌が密かに増殖して機会を待ち、油断したところで出てきて暴れだすからだ。

一般的に膀胱炎を繰り返す原因として「出来るだけ薬は飲みたくない」と言って、症状が治まったら薬をやめてしまう事が多いらしい。

「投薬中は医師の指示を実行しなさい」である。

ココアの場合も
「熟睡してしているのを起こすのがかわいそう」
だとか
「どうせ起きてこない」
などといって、きちんと投薬していなかった。

こういうのは偽善的思考である。

本当にココアのためを思うなら、叩き起こしてでも「決められた時間に正しい量を飲ませる」事を遵守すべきだった。

今回の検査の結果、ココアの膀胱炎は結石に起因するものでもなければ、臓器の異常によるものでもなさそうだ。

つまり単なる膀胱炎。

一番初めに徹底して投薬が出来ていれば、こんな大げさな検査をする必要もなかったし、ココアも麻酔で死にかけたり、あられもない姿で写真を撮られたりするという、大災難にあわなくて済んだのに!

その後、投薬は約1ヵ月、本当に叩き起こして続けた。
そして水の大量投与(!?)は一生続けていく予定だ。──ただし、腎臓に負担がかからない程度に。

数ヵ月後、一応膀胱炎様症状は見られない。

すごい勢いで大量のオシッコをしている。
ただ、予想もしなかった後遺症が残った。

「オシッコをする場所はテーブルの上」

と決めたようだ。

トイレをケージ内でする事がココア唯一の自慢だったのに。
ココアを大災難にあわせた代償は大きい・・・。