リスと暮らす

7年目

ココちゃん、死にかける

2007年10月

ようやく秋の気配が感じられ、クーラーの使用時間も短くなってまいりました。

ココアにとって最も過ごしやすい10月の終わり頃、悲劇は起こりました。
あまりにも突然の出来事だったという事が、前日のおバカ日記を見てもわかります。

前日の日記(一部抜粋)

大雨。窓全開でも湿度が高いせいか暑い。
クーラーではなくドライにしてみた。
23.3℃まで下がり、ココアは走りまわって絶好調!

冷凍栗(※1)も今のところおいしく食べている様子。
夜は寒いくらいで起きてこなかった(※2)

(※1) 秋の栗を生のまま冷凍し、必要な時に解凍後ゆでてあげます。
(※2) 普段から夜は起きてきたり、こなかったり、ココアの自由なので起きてこないから調子が悪いという事ではありません。

こんな感じで、パクスな日々を過ごしておりました。

事件の予兆

朝は普段通り。

歩いていると追いかけてきてジャンプし、ペトっとひっついたり、目に入るものを片っ端からかじってイタズラ三昧。
そのうちに、室温が上昇してきて24℃を超え、ココアもぐったりしはじめたので、クーラーON。

この時点でココアがぐったりしたのが暑さのせいだと思いました。走って暴れてぐったりし、体を冷やしてまた走り回る。これがココアの日常なのです。

10:30AM

切り株ハウスの上でのんびりするココア やはりココアの様子がおかしい事に気付く。

  • 切り株ハウスの上で1時間以上もまったりしている。
    もちろん時々寝ていますが、日課ではありません。
  • ご飯を食べない。
    朝から一人でお留守番の時は全く食べない事もありますが、今日はナゼ?

朝から咳やくしゃみはせず、触った感じ熱もない様子。嫌がるココアの全身を触って調べた結果、怪我などもない。
何も食べないので、バナナチップを手渡してみた。 すぐにパクパク食べたので、続けて給水ボトルを近づけると、水もゴクゴク飲んだ。

── なんだ、食べるんじゃん!

コーンを一粒ずつ手渡すとペロリとたいらげ、その後は床で日向ぼっこを始めた。クーラーの中の日向ぼっこはココアの日課なのです。
大好物の豆乳を一口あげると飲み干して、私の服に登ってきてお口をフキフキして去っていく。
豆乳を飲むと、いつもこうなのだ。

その後は布をちぎったり、絨毯に穴を開けたりしてお楽しみモード。なかなか良い感じ。

ただひとつ、走り回らないという事を除いては・・・

しばらくして、ご飯を少しずつ与えてみると、あっという間に食べるのだが、普段より量は少な目。
当然、フンの量も少な目。

── ちょっと気になるなぁ。

なんて思っているうちに、また日向ぼっこをしながら寝てしまいました。

日向ぼっこをしながら寝るのは当たり前。でも、あのココアが暴れないで寝てしまうなんて・・・。

11:30AM

まだ寝ているので、今日は早めに寝床に帰ってもらう事にした。ピスタチオでココアのケージのハンモックに誘導。足取りも軽く歩き方も正常。

就寝前には必ず水を飲むので、ハンモックに給水ボトルを持っていくとゴクゴクと飲んで寝てしまった。
何かが変。でも何が変なのかがわからない状態。

6:00PM

ココアが起きてきた。

大量にフンとオシッコをして大量の水を飲む。
気のせいか目に元気がない。そして暴れることもなく、またハンモックに入っていった。

7:45PM

またまた起きてきた。

再び、大量のフンとオシッコをして大量の水を飲む。
お土産にカボ種を渡すと、ハンモックの中でパリパリ音がした。

これまでにない、異常な多飲多尿が気になります。

一抹の不安を感じずには居られない。
この日はもう起きてくることなく夜が更けていった。

どうか、明日は暴れん坊ココアに戻って起きてきますように・・・

悲劇の幕開け

何かが変。でも何が変なのかがわからない。
そんな一日を過ごした翌日。
ココアに何事もなければいいのだけど・・・

6:00AM

ココアが起きてきた。

いつもの起床時間。少しほっとした瞬間...ココアはハンモックへと戻って寝てしまった。
やっぱり変だ!!!底知れぬ不安がよぎる。

7:30AM

ようやくハンモックから出てくるが、じっとしている。
水をあげると少しだけ飲む。どうもフラフラしている感じ。

触ると嫌がり、キューッと鳴く元気があり、安心したのもつかの間、なんとコーン1粒を食べる事が出来ない。

咀嚼する力がないように感じる。
コーンの皮を剥き、中身をすりつぶすとようやく食べたものの、大好きな豆乳も飲まない。そして、何より異常なのは、ココアの体が臭い、という事。

普段、ココアを掴んで鼻にくっつけて深呼吸しても、全く無臭なのに。
今は耐え難いニオイ。

全身を調べると、お尻と足にベッタリとしたフンがくっついている。このフンが悪臭の原因でとても特徴のあるにおいがする。 フンの色はどす黒く、まるでどこかから出血している様に思える。

ヨロヨロ歩き出すも、途中で力尽きてうずくまってしまった。

すり潰したピスタチオにも無反応...これはもう、ただ事ではない。

ココアは顔の表情で「ただいまおトイレ中」というのがわかるのだが、そんな表情になったので、お尻を見てみた。
あの黒くてベトベトした異常なフンをしている!血便に間違いなさそう。

普段のようにココアがグルーミングを始める。

と思ったら、姿勢が維持できずにヨロついてうずくまってしまった。

もしかしたら、これが動いているココアの最後の姿になるかもしれない・・・
とっさにビデオを撮る。

水分補給をさせたいけれど、すでに給水ボトルで水を飲むことは不可能。小皿に水を入れ、口元に運ぶ。飲もうとしたのか、一度口を動かしたが、力が抜けてブクブクブク...小皿に顔をうずめた。
たった数cmの飲み水におぼれているのだ。

病院は10:00AM開院。なんとか頑張って欲しい。

フリースでココアを包み、小さなケージに入れて病院に向かった。車の中でも全く動かない。いや動けないという表現が正しいみたい。

普段は決まった場所でオシッコをするのに、今日は垂れ流し状態だったので、採取できたのは、ほんの1滴。 できる検査は限られている。 「多飲多尿」という症状から、オシッコは糖の検査をしてもらった。黒いフンについても診てもらった。

結果は・・・

便からは血液反応陽性、尿からは糖+++、たん白+++

・・・ あまりにも悪い予想通りで、ドクターの前なのに涙があふれてくる。

力なく横たわる当日のココア(実際の写真)
何が悪いのかココアは訴えてくれない。

受け入れ難い事実

原因は不明だけど、腸から出血しているのは事実。
そして尿からは糖が出てしまった。

ドクターの説明。

「可能性としては糖尿病も考えられますが、この子達は瀕死の状態でも糖がでますので、おそらく後者でしょう」

この子達、というのはリスやハムスターの事だろう。

人間のお菓子なんてあげた事がない。 果物も毎日大量にあげるわけじゃない。 多飲多尿になったのは、つい昨日の話。
糖尿病と同じ症状とはいえ、ココアが二型の糖尿病になるとは考えにくかった。

という事は、間違いなく瀕死の状態という事だ。 この状態ならレントゲンを取れるのでは? 糖が高い状態なら、コントロールは必要ないの? 何も食べてないから脱水症状や栄養状態が心配

「この状態でレントゲンをとっても何にもならない事
詳しい症状がわからないまま糖のコントロールは出来ない事
これ以上何かを食べさせたりする事は負担にしかならない事
そして何より、この状態で高度な治療を望まない事」

を説明された。むしろ、説得に近かったかもしれない。
高度な治療どころか、ブドウ糖までもが使えないことが悔しかった。

「体温が低くなっているでしょうから、温かくして水分が取れるようならあげてください。
二次感染防止のため、抗生物質を処方します。」

薬はそのまま飲める状態ではなかったので、スポイトを分けてもらった。

長い診察の間、ココアはずっとフリースでぐるぐる巻きにされたまま。いい子でも何でもなくて、瀕死の状態なのだから、当然だろう。

家に帰り、無理やり薬と水をスポイトで口に入れたが、飲み込む力はないようだった。
1滴1滴しみこませるように飲ませた。

ココアは、グルーミングがしたいらしい。
体が倒れてしまうので支えようとすると...嫌がる。
こんな時くらい頼って欲しいものだ。

12:00 AM

目は開いたままの状態。
普段寝床にしている、ケージ内のハンモックに移す。
部屋は26℃あるのに、ココアの体は冷たい。
保温のため、ひよこ電球を入れてみるが、嫌がる様子もない。

ハンモックは、高さ160cmのケージの一番上に設置している。万が一の落下に備えて、すぐ下に1面を覆うハンモックを設置した。

15:30

尿から糖が出ているので、好物の果物もあげられず、水分補給には苦労した。当然水だけでは飲んでくれない。

そこで活躍した水分補給方法がある。ただ少量のクルミをすり潰して水に溶かしただけ。見た目はまずそうなのだが、ココアは興味を示してくれた。
クルミの香りに誘われたのか、この時も耳かき2杯ほど飲んでくれた。

クルミ水この水を“クルミ水”と勝手に名付けた。

ココアの大好物であるクルミは、糖(炭水化物)が少ない上に高エネルギーが得られる。そして香りが強い。
成分的には松の実でも良さそうだが、人間用に味付けされているものしかなかったので、これはパスした。

17:20

クルミ水を飲み、すり潰したコーン1/2粒食べた。

18:00

不安な夜 抗生物質、クルミ水を飲んで就寝。

息が荒く、体全部を使って呼吸している感じ。必至に戦っているのだろう。

明日の朝、ココアは起きてくるだろうか。
とても心細い気持ちになった。

闘病

尿から糖がでていて、フンからは血液が確認。
ぐったりして水を飲む力もない。
そんなココアを目の当たりにして、覚悟を決めなくてはいけないと感じた一日が過ぎ、朝を迎えた。

6:00AM

ハンモックを見つめる。
動きは全くない。ハンモックを覗き込むのが怖い。

その時、ハンモックの中でモゾモゾするココアを確認。

生きてる!

外に出たがり、ぴょんっとジャンプして、「クックッ」と声をあげた。
一瞬ほっとしたが、やはり動きまわる力はほとんどない様子。

ココアを抱き上げると、大量のオシッコ。
その後は、どうやらフンをしたいらしくて、場所を求めてヨロヨロとしながらもウロウロする。一応頑張っているが、なかなか出てこない。

何とか足を踏ん張るものの、体力のないココアはすぐにペタンと横になってしまう。

もう、飼育係の目はココアのおしりにくっつきそうなほど、凝視中。
ほんの少し出てきたところで、ココアを抱きかかえて、ソレを指で引っ張りだす。
少しずつ少しずつ・・・え”っ・・・長いよ?まだ?

なんと2cmにもなる大物血便!!

腸内に長くとどまっていたせいか、色は黒く固くなっていた。

ココアの手足がすぐに冷たくなるので、使い捨てカイロを貼ったフリースをかけて様子を見ることにする。

7:30-9:00AM

クルミ水を中心に、すり潰したコーン、ビオフェルミンを少しずつ食べる。

お気に入りの場所に連れて行くと、フリースに潜り込んで寝てしまった。

フリースで落下防止の堰を作ったものの、崩壊したところ

ココアのお気に入りの場所

10:45AM

今日は天気が良く、ココアの場所は28℃にもなる。
さすがに暑いのか、寝たままフリースから出てきた。

クルミ水やすり潰したコーン、水で薄めた豆乳を与えると、すべて飲む事ができた。
後はひたすらじっとし続けている。ただ、昨日より息が落ち着き、心臓のドキドキも落ち着いた感じ。

13:00

ココアの年並みはずれた体力で、何とか乗り越えてくれる事を願いつつ、ケージのハンモックに移動した。

20:30

寝続けているけれど、薬の都合で起きていただく。

茹でた小松菜とにんじんを少量の柿に加え、すべてすり潰してあげみる。大好物の柿は糖度が高いので、ほんの少しだけ。
これが予想以上に食べてくれた。すこし希望の光が見えてきた。
クルミ水で強制水分補給する。

フンがしたくなったようで、ハンモックから出てくる。

時間をかけ、場所をかえ、ヨロヨロしながら体力の限界まで頑張った。

ほんの少しフンが見えたところで、捕まえて、また手で引っ張りだした。

なんと、約4cmもある細長くて固いフンが登場。
これもまだ血が混じったまま。

オシッコもうまく出来ず、舐めて刺激しながらようやく少しずつでる状態。
フンとオシッコに約1時間もかかった。

約4cmものフンが出て、楽になったのか、ひま種を食べた!自分で殻をむいて!!
さらにドッグフードも食べる。

目はうつろ。自力で立っていることもできない。
時々思い出したように、走り出そうとして2,3歩いったところで、人形が倒れるように横に倒れてしまう。

飼育人が起こしてあげないと、ご飯を食べることもトイレもすることなく寝続けている。

そんな体調でも、休憩しながら一生懸命に食べる姿は、ココアが一番生きる望みを捨てていないようで涙が出た。

ただ、今はとてもこちら側にいるようには思えなかった。

闘病 2

昨夜は、最後に自力でフンができた(9:30PM頃)
そのフンは繋がっているものの、多少柔らかく、丸い形が残るようになっていた。

7:40AM

薬の時間もあるし、ちょっと起こしてみる。
大あくびをした後、まだ寝る!(怒)と言われてしまった。

生きているならそれだけでいい。好きにしなさい。

8:25AM

起床

自力でハンモックから出てくる。
すぐに自分でひま種とドッグフードを一粒ずつ食べ、安心したのもつかの間、落下防止用フリースに体をスリスリした後、横たわって動かなくなる。

床に下ろすと2, 3歩いて立ち止まる。

フンをしないので、捕まえて綿棒にオリーブオイルを塗ってお尻を刺激してみる。
ココアがケージに自分で戻って、いつものトイレの場所で「オシッコ中」の体勢になる。

でも、オシッコは出ていない。
痛みがあるのか、クゥゥと小さな鳴き声をあげた。

8:45AM

ひざの上に乗った状態でようやくオシッコが出た。

今日は許すよ。いや、むしろ嬉しかった。
しかし、そのまま横たわって動かなくなってしまった。

9:00AM

尻尾のグルーミングがしたくて何度もトライする。
昨日はできなかった行動をしてはいるものの、すぐに動けなくなってうずくまってしまうココアを見ていると、良くなっているのか、悪くなっているのかさえわからない。

元気な時のグルーミングの姿勢。
つい3日前までは普通にしていたのに、今は出来なくなってしまった。

ほとんど食べていないので、フンは出なくて当然だけど、昨日までのものは、腸から出血したものが便となって出ていたのだとしたら?? 出血が止まったのだろうか?

10:00AM

昨日食べた小松菜とニンジンと柿のすり潰し和えや、クルミ水をあげる。
皮むきコーンは食べずに、日光浴を始める。耳は後ろにペタンとなった状態。これは熟睡している証拠。

室温は28℃。

10:34AM

体を少し起こしたので、すり潰したコーンを見せてみた。
食べようとしたものの、結局食べることなくまた横になった。

クルミ水だけ、少し飲んだ。

11:15AM

ココアの横には、常に水を置いている。
水の容器を覗き込んだものの、飲まなかったが、何か欲しいのかと思い、再びクルミ水を作る。

くるみをすり潰す乳鉢の音がすると、体を起こして待っているように見える。
クルミ水ができるまでの間、普段のご飯が入った入れ物を横に置いてみた。

クルミ水を持っていくと、喜んで飲むが、もちろんご飯は食べていない。
しかし、この時、ココアの横にペレットがひとつ落ちていた! ココアが自分でご飯皿から取り出したらしい!

ココアは何とか生きようとしている。

11:30AM

ヨロヨロ起き上がり、今日初めて、フンをした。

昨日までのように、最初は少し手伝ったけれど、すぐに自力でコロコロの黒いフンを1粒1粒、ポトポトと。始めに栓となっているフン以外は、塊にはなっていなかった。

この後、急に元気になって走り出し、置いてあった本をカリっとひと噛み。
最後のイタズラなんて事にはなるなよ!と思っている間に、あっという間にキャットタワーのお気に入りの場所まで登っていった。

フリースで巣を作ってあげると、潜り込んで寝た。

室温は29.2℃

この動きを見ると嬉しくなってしまうが、油断は禁物...。
瀕死のはずの子たちが、最期に小さな命の炎を燃やす事がある、というのを知らないわけではない。

このまま安らかに去くのか、辛い闘病生活が続くのか、それはココア自身の選択でしかない。

19:15

ココア自ら起きてきた。

すぐに、コーンとクルミ水を平らげ、自力で丸い正常な形のフンをする。
その後も時間をかけてず―――っとフンをしている。

茹でた小松菜をみじん切りにして、クルミ水に混ぜてみた。

うわっ まずそう…

しかし、予想に反してココアは完食!

そしてフラフラしながらも、背中によじ登ってきて大量のオシッコ!
これで喜ぶ私は変態かもしれないが、もうどうでもよい!
さらに服を着替えおわる間もなく、ココアは動いてグルーミングをはじめる。 もちろん、まだココアはヨロついていて、支えてあげていなくてはグルーミングは出来ない。

こっちは着替えの途中というのに、ハダカのまま支え続けた(;-;

でも、この行動には期待を持たずにはいられなかった。

ケージに帰すと、今日は落下防止用ハンモックの上で寝るらしい。
布団代わりのフリースを追加すると、寝ながらグルーミングを始めた。

だったら、最初からそうしてよ!ココア

フリースにくるまってぐったりしている、この日のココア。
確かに昨日よりはよくなったような気がするものの、元気になったわけではなくて衰弱が激しい。

快復の兆し(4日目)

ココアは、良くなって来たのだろうか?

昨日、フンの状態がほんの少し良くなり、自分の意志で体を動かす様子が見られるようになった。
とは言え、それは4日前の状態とは天と地との差があった。

擦りおろした、わずかな食事をやっと食べることが出来る程度。足取りはフラフラで、まだ自力で座る事すらできない。オシッコは未だに腰を落したまま、動き回って何分もかかって絞り出す状態。
それ以外は、ずっとフリースにくるまったまま寝続けている。

未だ“最期の炎”の疑念を捨て切れなかった。
(本当に快復したんだ、という確信が持てたのはずっと後で、この気持ちは長い間続いた)

ただ、ココアは明らかに“生きる意志”があるように感じられた。

6:45AM

起床

ドッグフード、ひま種、カボ種が食べられるようになる。
普段、夜の間にお世話係がカボ種を隠しておいて、翌朝ココアがそれを見つけ出す、『カボ種かくれんぼ』という遊びをしている。 今朝のココアは、足取りはヨロヨロしているくせに、切り株やテーブルの上に登り、『カボ種かくれんぼ』を始めた。

ココアは普段通りの生活がしたいんだね。

ココアの頭の中では、普段通りに元気に歩いているつもりでも、実際は足元はヨロヨロ。
こうなると一番怖いのは落下事故。常にココアに寄り添い、SP状態。

今日は、これまでの流動食もどきが気に入らない様子
人間だって、毎日同じおかゆじゃうんざりだよね。

ココアが寝ていたフリースのハンモックを覗いてみると、毛だらけ、フケだらけだった。
今まで全く出来なかったグルーミングが出来た証拠だ。

7:30AM

バク転をしようとして体をねじったものの...はい、これまで。
調子に乗りすぎたようだ。うずくまって動かなくなった。

体が冷たかったので、手で温めると完全に寝てしまった。

10:45AM

29.4℃

さすがに暑いらしく、お腹を出して寝ている。
数日間爪の手入れが出来ていないので、久々にお世話係が切る。

相変わらず食欲は全く無い様子。
フンもこの日は夜まで出なかった。

だた、市販の糖の試験紙で見る限り、糖(-)になった!!!
瀕死、脱出か?!

今日は、ココアの好きな野菜チップやコーンを食べ、くるみ水を飲んだ。
その後、コロンと横になったものの、目は開いたまま。

眠いのではなくて、動けないだけ?

夜もなかなか寝なかったようだ。

今日、驚いたのは塩土を狂ったようにかじったこと。
普段は食べるというより、バラバラにして楽しんでいるだけ。
ミネラルが足りないのかもしれない。

糖(-)になったので、甘い栄養剤を与えてみる。

快復の兆し(5日目)

6:30AM

起床

自分でケージの下まで降りてきた。

今日はピスタチオ水に小松菜を混ぜてみた。
サフラワーも食べ、嬉しくなってしまったお世話係は、冷凍栗をホクホクに茹でてみたのだが、これは知らんぷり。
栗は元気な時に食べる物らしい。

背中でクックッと鳴き、スリスリして丸いフンをした。
まだカチカチ。

で、そのまま動かなくなる。
一体どうなっているんだろう?

9:00AM

水で薄めた豆乳や、野菜チップまで食べ、なんと体温の維持が出来ている。
茹でたニンジンを細ーく切ったものも食べる。

柿を0.5mm程にうす~くスライスし、小松菜のみじん切りを包む。
餃子の皮が柿で、具が小松菜みたいな感じ。

これが大ヒット!

コーン一粒丸ごと上げてみると、ココアが自分で皮を剥いた。
そして、手にじゃれてきた。

もう瀕死なんて言わせない!
これからは体力回復に向けて頑張るぞ!!

10:00AM

ココアが自分でハンモックのベッドに戻りました。

室温27℃

体温が維持できているため、ヒーターを取り外す。
水分補給をしつつ寝続けた。

19:30

起きてきて、朝は見向きもしなかった栗を食べる。

尿の状態はたん白(+++)糖(-)で変わらず。
フンには毛が混ざっている。
胃腸の活動が正常になってきたようだ。

今なお、ココアの食事は胃の負担を軽くするため、茹でてすり潰したりはしているものの、種類、量ともに増えている。

快復の兆し(数日後)

その後のココアの生活は、朝は普通に起き、量は少ないけれどご飯も自分で食べ、フンだって自力で出来るまでに回復した。
いっちょまえに体温も維持できるし、グルーミングをする姿はまるでリスみたいだ。
木の実ばかり食べていたから普通食に少しずつ戻していかなくてはいけない。ビオフェルミンは大量投与から減量を開始した。

一番困るのは室温。25℃~26℃を基準にココアの様子を見ながら調節した。(普段より高め)

この頃、イタズラも復活。

床に白い紙片が散乱しているので、見上げてみると天井の壁紙をはがしていたのだ。
これは病後初のイタズラでしかも天井まで行く体力が出てきたなんて、この快復の兆しにお世話係は大喜び。天井はひどい有様なんだけど。

帰宅するとココアは就寝して姿が無く、天井の紙片だけが床に散乱していた

不思議なのが、塩土をかじり続ける事。止めさせなければ新品の塩土の塊を全部食べてしまいそうな勢い。
部屋の壁も今までは穴を開けてイタズラするだけだったのに、今は明らかに食べている。
一体何が不足しているんだろう?

それとも何かに反応して麻薬中毒みたくなっているんだろうか?

塩土は与え過ぎたくないので、ひとかけらだけあげる事にした。

体温が保てるようになって一週間後、殻付きクルミに興味を示す。
時間はかかったけど割って食べる事ができた。

少しずつ良くなってきたかな、と思えるようになったけど、峠を越えたココアは別人になっていた。
大好きな豆乳が大嫌いになり、走っても勢いがない。さらに壁を食べると言う異食症のおまけ付き。

イタズラも天井を齧って以来なにもしない。
日向ぼっこばかりしている。

このまま隠居生活に入るのか?
早く本来のココアに会いたいよ。それはそれで大変なんだけれど...。

倒れてから1週間後。日向ぼっこ中のココア

さらに数日後、豆乳好きのココアが現れる!
茹でたりつぶしたりした野菜よりも生野菜を好み、くるみもカリカリ楽しんでいる。
ただ、「壁食い」だけが進行中。

何かの後遺症かもしれない。

「ココアは死にませんでした」という報告も兼ねて病院に行く事にした。

便は正常、尿は糖(-)、蛋白(++)。

「今回は大丈夫ですね」

といいつつ、ドクターは驚きの表情を隠せない様子。

「何かが不足しているかもしれないので、塩土はそのままあげてもいいです」

との事。その不足している「何か」を知りたいのですが・・・。
疑問を抱きつつ、3日に1度くらい、少量の塩土をあげることにした。

ご飯はすっかり普通食になり、一安心。
体調を整えるために、ココアの嫌いな葉モノ野菜を何とか食べさせたかったので、色々と試行錯誤した。
(当時は鉄分不足を疑っていたので、葉っぱやヒジキ入りの麩をよくあげた)

小松菜は、軽く湯通ししてみじん切りにし、リンゴや柿のすりおろしと混ぜる。 これならペロリと平らげてくれる。最初はまったく手をつけなかったのにうそみたいだ。

ココアとの生活は、常に根競べだと実感する。

病後、エリンギの食べ方が変わった。以前は、笠の部分だけしか食べなかったのに、病後は軸の部分しか食べなくなった。
あれほど好きだった笠の部分はポイされている。

快復?

ココアが倒れて半月後、出遅れたとばかりに冬への準備が始まった。

せっせと貯食を始め、耳もわずかに変化してきた。
こんなココアの姿をまた見る事ができるなんて、とても信じられない気持ちで、幸せです。

1ヶ月もすると毎日走り回り、イタズラも再開。運動も激しくなってきた。

なんだか「とても元気なリス」に見える。
でも、7年間一緒に暮らしたからこそわかるのだ。「何か違うんだよなー」、うまく言えないけど。

日向ぼっこの時間が長いと、もしや・・・!?
食事量が少ないと、もしや・・・!?

原因が不明だから漠然とした不安が常に付きまとう。

例の壁齧りは未だ止まらず、ココアの体にも良くないので壁一面、硬いプラスチックシートで覆って齧られなくした。ココアのしつこさは半端じゃないので、覆い忘れた箇所や、まさか届かないでしょ、と思っていた箇所を突いてきて、毎日いたちごっこをしつつ、齧られる回数は減ってきている。

そうして、見守ることしか出来ないまま、新年を迎える。

寒波のせいか、お腹まで毛がモコモコ状態になり、皮膚の検査がしにくい。
おヒゲの白髪が増えた気がするが、動きはパワーアップ。

元気になってココアも生きている事を楽しんでいるように見える。

・・・もう安心していいのよね。

2008年2月初旬
ここまでモコモコになったのは久しぶり

4ヵ月後

ココアとの毎日の生活が普通に過ぎていくようになり、お世話係も少しずつココアの回復に自信を持てるようになってきた。

そんな中、何かあるのは、お世話係の油断なのか?2月中旬、朝出かけて帰ってくるとココアがいつも通り走り回っている。しかしケージ内のコーナーステージの上に黒いカタマリを発見。黒くてベチョベチョしていて固体でも液体でもない。

もしや、あのフン!?

ココアのおしりはキレイで汚れていない。体も臭くない。
力強く飛び付いてくるし、足音がうるさいほど元気に走り回っている。

これは何?

ココアがフンをするのを待っていると、少し黒いがポロポロと普通の状態だ。翌日も普通と言うか元気。
フンもオシッコも異常なし。

その時は、不安を感じつつも、あまりに元気なので、病院に行かなかったが、3月に入ったある日、フンが緩めだったので、病院に行くことにした。
緩めのフンはビオフェルミンのおかげて一日で治るんだけど。

今回は、セカンドオピニオンを求めて、別の専門病院へ出かけた。
健康診断、飼育相談で約1時間、みっちり診ていただきました。

ココアの病気については、やはり原因不明のままです。その時の試料もないので当然だけど。

「今はどこにも問題はない」

との診断で、今回の大騒動の幕を下ろす事にしました。

塩土を食べ続ける事も相談しましたが、やはり食べさせなくて正解。たとえ「何か」が不足しているとしても、わけも分からずあげるのは良くないと思う。ココアの食事内容からして、塩土で補える「何か」が不足しているとは思えない、との事でした。

その後

春には発情期を迎え、満8才となった。

ゴールデンウィークにも血便がでて心配したが、衰弱は全く無い、というかかなり調子は良さそう。
原因不明というのが悔しいが、とにかく怖いくらい元気に過ごしている。

寒暖の差が気になるので、5月中旬から24時間クーラー生活となった。

ココアの生活のリズムは、朝6:00~6:30AMに起き、お昼は12:00~1:00PMには寝てしまう。
夜10:00頃起きてきて、ひと暴れして寝る。

若い頃に比べれば活動時間がかなり減っているけれど、部屋中を駆け回る姿はまだまだ勇ましい。
おヒゲに4本もの白髪があるのが笑えちゃうのだが、全部白髪になるまで、元気に一緒に暮らして行きたいね。

ココアのこの腸からの出血は、この後、何度か繰り返すことになりました。上記の様に大事に至らないときもあれば、今回のような危険な状態になる時もありました。原因不明だし、高齢のために検査も手術もままならず、症状が起きたとき、出来る限りの事はして、後はココアの体力頼みでしかない状態。エキゾチックアニマルとの生活の難しさを痛感しました。